ジェイアイ傷害火災　トラブルデータ

（2012年度）

1. 全体の事故発生率：3.88％（26人に1人）　

■事故発生率：3.88％（昨年度より0.3ポイント悪化）
■事故に遭う確率：26人に1人（保険金支払件数／海外旅行保険加入者数）

2012年度の海外旅行中の事故発生率は3.88％となりました。これは26人に1人が何らかの事故に遭っている計算です。

海外では、気温や衛生環境、食事や水質などが異なることにより体調を崩しやすく、併せて犯罪率が日本と比較して全般的に高いことから事故に遭いやすい状況にあるといえます。
また、搭乗便の欠航や遅延時の食事代など、旅行行程上の偶然な事故を補償する「旅行事故緊急費用」に代表されるように、海外旅行保険の役割が重大事故だけでなく、海外旅行中によく発生するトラブルを包括的に補償する傾向になっていること、併せて従来対象外であった慢性疾患（持病）の治療費用等も補償を開始するなど補償の範囲も広がっていることもあり、事故発生率の増加に繋がっています。

【海外旅行事故発生率】

注）事故発生率計算方法＝保険金支払件数 ÷ 保険加入者数

2. 補償項目別事故件数の状況

■ 1位：治療・救援者費用（45.7％）、2位：携行品損害（36.7％）、3位：旅行事故緊急費用（14.7％）
海外旅行保険で最も事故が多い補償項目は「治療・救援費用」（割合45.7％、前年比94.7％）で、腹痛・風邪などの疾病やケガによる治療費用、救急車などの交通費や医療通訳費、入院した際に家族が現地に駆けつける場合の渡航費用、日本や第三国までの医療搬送費用などを補償します。次いで多いのが「携行品損害」（割合36.7％、前年比105.3％）であり、スーツケースやカメラなどの手荷物の盗難や破損の補償です。 3番目は「旅行事故緊急費用」（割合14.7％、前年比106.1％）であり、航空機の遅延や欠航、航空会社に預けた手荷物が現地に届かないなど、予期せぬ偶然な事故により負担を余儀なくされた費用（交通費、宿泊費、食事代など）をお支払いする特約です。　2012年度は台風・大雪・強風などの影響で航空便に影響が出たことから同費用の割合が増加しました。上位3項目で、全体の97.1％に達しています。海外旅行保険の最も重要な役割が、旅先での病気やケガの治療費など身体に関わる補償であることは変わりませんが、手荷物の破損や航空機の遅延時など様々なトラブルに対し海外旅行保険が利用されていることがわかります。【補償項目別事故状況（支払件数）】注）記載の以下項目は、（）内を含みます。 ①治療・救援費用（傷害治療費用、疾病治療費用、救援者費用、応急治療・救援費用） ②旅行事故緊急費用（航空機遅延費用、航空機寄託手荷物遅延費用） ③携行品損害（生活用動産損害） ④個人賠償責任（個人賠償責任（長期契約用）、家族総合賠償責任）

3. 補償項目別事故件数の状況：地域別　

■ヨーロッパ・アフリカ：「携行品損害」の事故割合が高い ■アジア・オセアニア：「治療・救援費用」の事故割合が高い
地域別に補償項目別事故状況を集計した結果、前年に引き続き、地域による特徴が顕著となりました。ヨーロッパへの渡航の場合は行き先により乗換が多くなり、荷物の積み替えが増えることでスーツケースの破損が相次いでいます。スリの手段なども多様化しており、「携行品損害」の割合が多くなっています。急速に普及が進んだ高機能携帯端末（スマートフォン）の盗難被害も多数発生しました。アジアでは地域により衛生環境が良好とはいえず、気候も日本とは異なります。このため、腹痛・風邪などの疾病が発生しやすく、「治療・救援費用」の割合が多くなっています。【地域別：補償項目別事故状況（支払件数）】

4．高額事故上位10ケース（治療・救援費用保険金支払対象）　

■シニア層（65歳以上）を中心とした高額事故が多く発生

No	国名	事故状況	年代	保険金額	支払保険金（円）
1	トルコ	カッパドキアの土産物店階段で転倒。頸椎骨折・脊髄損傷と診断され42日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。	シニア (65歳以上)	無制限	41,102,765

2	カナダ	バンクーバー発の列車内で息苦しくなり、途中下車し救急車で搬送。急性冠症候群と診断され現地病院からチャーター機でシアトルまで医療搬送し43日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。	シニア (65歳以上)	無制限	37,000,545

3	グアム	飲酒後、激しい腹痛を訴え受診。膵炎・腹膜炎・腎不全と診断され26日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。	64歳以下	無制限	27,165,703

4	ハワイ	ホテル前のビーチで海水浴中におぼれ心肺停止。（海水が流入したことによる）肺炎と診断され19日間入院。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。	64歳以下	無制限	18,118,146

5	ｵｰｽﾄﾗﾘｱ	スノーボードのジャンプで着地に失敗しヘリコプターで搬送。腰椎骨折・脊髄損傷と診断され16日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。	64歳以下	その他	14,614,410

6	アメリカ	眩暈・吐き気・食欲不振を訴え受診。脳梗塞・心筋梗塞と診断され20日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	シニア (65歳以上)	その他	13,215,940

7	ｵｰｽﾄﾗﾘｱ	早朝に激しい頭痛と吐き気を感じ救急車で搬送。クモ膜下出血と診断され12日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。	64歳以下	無制限	12,505,183

8	フランス	観光中に半身麻痺となり救急車で搬送。脳梗塞と診断され24日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	シニア (65歳以上)	その他	11,741,576

9	アメリカ	留学先でバスケットボール試合中に相手と接触し、胸の痛みを訴える。外傷性気胸と診断され現地病院からチャーター機で医療搬送され27日間入院・手術。家族が駆けつける。（保険金額不足/別途自己負担あり）	64歳以下	その他	11,283,144

10	フランス	セーヌ川観光をしている際に脈が乱れ受診。静脈炎と診断され10日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。	シニア (65歳以上)	無制限	10,939,562

【参考】治療・救援費用の保険金額「無制限」選択割合（全加入者対象）

当社の海外旅行保険加入者のうち約57％のお客様が「治療・救援費用」の保険金額（補償）が「無制限」のプランを選択しています。
海外の高額な医療費用に対応するため、余裕を持った保険金額が望ましいと言えます。
事故に遭った後で（当該事故に対する）保険金額を増額することはできませんので、事前に海外旅行保険のプランをよく検討する必要があります。

5．高額事故のシニア層（65歳以上）割合（治療・救援費用保険金支払300万円超分類）

治療・救援費用保険金支払300万円超の事故のうち、シニア層（65歳以上）が約半数を占めています。アクティブなシニア層（65歳以上）が増加していると言われていますが、段差につまずいて転倒・骨折し長期入院するケースや、脳疾患・心疾患により医療搬送が必要となり、高額となるケースが発生しています。

特にシニア層に人気のあるヨーロッパでは、医療費用自体が高額であり、医師や看護師を付けての医療搬送距離も長くなるため、費用全体が高額化する傾向にあります。

高額事故のシニア層（65歳以上）割合（治療・救援費用保険金支払300万円超分類）