2008年6月末における火災保険等の適正な募集態勢等の点検結果について

 当社では、2006年12月20日付金監第2806号「火災保険の適正な募集態勢等にかかる点検について(要請)」に基づいた点検(2007年3月末までに行うもの)の結果を2007年5月2日に、当社ホームページにてご報告いたしました。その後引き続いて点検を実施してまいりましたので、その点検結果(2008年6月末時点)について以下のとおりご報告いたします。
これらの点検により、保険料の過領収(注)に伴いお客様へのご返還・お支払いが生じましたことにつき、深くお詫び申し上げます。また、点検のための調査について多くのお客様からご協力をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
今後このような事態が発生しないよう、再発防止に向けたさまざまな改善対応に取り組み、適正な業務運営に努める所存ですので、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 今後も引き続き調査・確認を継続してまいりますが、契約時に申告いただいた住所にお住まいでなかったり長期不在等で調査・確認がお済みでないお客様には、後記ご照会窓口にご連絡いただきますようお願いいたします。

(注)過領収とは、保険料の決定要素である火災保険における構造級別・保険金額の判定・算出などの誤りや、保険料割引の誤適用などにより、お客様から保険料を本来領収すべき額より多く領収することをいいます。

1. 点検内容

(1)適正な保険料が算出されているかどうかの点検

  1. 契約データの機械抽出などにより、構造級別の判定(*)、保険金額の算出ならびに割引の適用(火災保険における省令準耐火構造建物料率・割引、地震保険における建築年割引など)などに誤りの疑いのある契約を抽出し、当社および外部機関による実地調査を実施するなどにより、調査・点検を行いました。
    * 外壁がALC(軽量気泡コンクリート)である木造・鉄骨造建物や、木造・鉄骨造建物で外壁が不燃材料
    または準不燃材料で造られている建物、鉄骨を耐火被覆している鉄骨造建物について、構造級別の
    判定の調査・点検を行いました。
  2. 新規契約や契約の更改時などに「ご契約内容確認書兼地震保険チェックシート」や「ご契約内容確認書」などによって調査・点検し、更改前契約と更改後契約の間に保険料の算出に関連する項目について不整合が生じていないかについても点検を行いました。
  3. 保険期間が長期のご契約やすでに当社との契約関係が解消された契約(更改されなかった契約や解約された契約)、通信販売による契約についても、郵送のご案内により調査・点検を行いました。

(2)保険募集にあたる代理店に対する指導・教育の実態等についての点検

  1. 代理店に対する指導・教育・研修が営業センターや本店関連部署でどのように行われているか点検しました。
  2. 保険申込書のチェックがどのように行われているか点検しました。

(2)保険募集にあたる代理店に対する指導・教育の実態等についての点検

  1. 保険募集にあたる代理店の重要事項の説明能力やその確認の状況、知識などについて点検しました。
  2. 募集にあたって説明に使用するパンフレットなどの募集ツールの作成状況および、募集ツール作成における社内管理態勢について点検しました。

2. 点検結果

(1)適正な保険料が算出されているかどうかの点検

点検対象件数と保険料を返還した状況は次のとおりです。 (2008年6月30現在)

保険種目 点検対象件数
(注1)
保険料を返還した契約
件数
(注2)
返還額
(注3)
火災保険 2007年3月以前実施 242件 76件 195万円
2007年4月以降実施 35,817件 190件 472万円
合 計 36,059件 266件 667万円
その他 6,526件 0件 0万円
合 計 42,585件 266件 667万円

* 当社では自動車保険の引受は行っておりません。

※なお、2008年6月30日現在で想定される返還見込累計額は、以下のとおりです。(注4)
火災保険 : 282件、 707万円
その他 : 3件、 2万円
合計 : 285件、 709万円
注1:点検を実施すべき契約件数で未了分を含みます。2007年3月以前実施の点検対象件数、242件は当社保有の全契約データ(27,831件)のうち、料率適用誤りなどが生じている可能性のある契約として抽出された点検対象契約の件数です。
注2:保険料誤りが判明した契約のうち、是正手続きが完了し、保険料を返還した契約の件数です。
注3:是正により返還した保険料です、遅延利息は含んでおりません。
注4:保険料誤りの内容が判明しているものの返還手続きが未処理の契約と、点検が未了ではあるものの返還が予測される契約の数値です。
なお、火災保険における是正項目の状況は次のとおりです。

項目 是正件数
保険金額 7件
構造 45件
割引 省令準耐火など 68件
地震建築年 165件
その他 3件
合 計 288件

※是正件数は1契約における複数是正項目を重複カウントしております。

(2)保険募集にあたる代理店に対する指導・教育の実態等についての点検

代理店を担当する営業センターの社員に求められる商品知識レベルの確保の観点から課題がありました。また、代理店への新商品発売時や商品改定時の周知は、文書による通知が主となっており、効果的な方法を検討し改善する必要がありました。
代理店に対して指導・教育を実施した場合の指導内容が適切であったかを本店において把握していない状況がありました。火災保険を販売する代理店の募集人を対象とした商品資格教育においては、資格取得の推進に課題があり、また、カリキュラム・テキストにおいても、省令準耐火構造の説明が不足していた箇所がありました。
さらに申込書のチェックについても不十分な点がありました。

(3)お客様への説明態勢整備の点検

火災保険における商品知識の理解度は代理店毎に格差がありました。また、募集ツールにおいては保険の目的の評価および保険金額の算出、構造の判定において注意をうながす十分な説明がなされておらず、保険の募集態勢としては不十分な状況でした。

3. 「不十分」「未整備」「課題」があると判断した点検結果の発生原因

(1)適正化された項目ごとの発生原因

  1. 保険金額の誤り
    保険の目的の評価および保険金額の設定において、経年減価による評価額の変動などを踏まえた適正な保険金額の見直しに関する注意喚起が不十分で、お客様に保険金額の妥当性を確認する機会が十分に提供されていませんでした。また、保険金額の決定にあたって超過保険や一部保険の問題点や適正な保険金額の決定方法がパンフレットなどにわかりやすく説明されていませんでした。
  2. 構造級別の誤り
    建物構造の判定が複雑で、構造級別が保険料決定の大きな要素となっているにもかかわらず、お客様に構造級別の仕組みを説明し構造を確認するための資料や、代理店に対する指導・研修が十分でなかったため判定誤りが発生しました。システムによるチェックも改善すべき点がありました。
  3. 割引の誤り
    料率規定が複雑であるにもかかわらず、代理店が理解しやすいように、適用できる割引を一覧する資料等の作成・周知が十分でありませんでした。そのため、代理店の割引規定に合致しているかの確認が不足し、保険料割引の適用誤りが発生いたしました。さらに各範囲割引、省令準耐火等の割引などがお客様に対してパンフレット等でわかりやすく説明されていませんでした。システムによるチェックも改善すべき点がありました。
    地震保険では建築年割引や耐震等級割引について、割引適用の際に必要となる公的確認資料の取付け等に関する当社の代理店指導が十分でなく新契約時および更改時に改めて確認することが徹底できていませんでした。
    建築年割引:対象となる建物が 1981年6月1日以降に新築されている場合適用されます。
    耐震等級割引:対象となる建物が法律や指針に定められた耐震等級を有している場合適用されます。

(2)上記発生原因を生むこととなった当社の態勢

  1. 商品開発・管理
    代理店の商品知識や確認・説明能力の実態に格差があるにもかかわらず、商品の多様化や保険料の割引制度の拡充に際して、適正な保険募集の観点から代理店の理解度の検証等を含めて、確認・検討が不足していました。
    また、新商品発売時や商品改定時においてはその商品内容に応じて、適正な保険募集の観点からの社内や代理店に対しての十分な準備・対応を行うべきでありました。申込書のチェックについても改善すべき点があるかについての観点で、実態の評価・検証ができていませんでした。
  2. 保険募集と募集ツール
    以下のような点において、適正な保険料の算出による契約締結の観点からの検討・検証が不十分でした。
    代理店による募集と募集に使用するツールに関して保険の目的の評価および保険金額の算出、構造級別の判定において注意喚起が不十分で、お客様に保険金額の妥当性を確認する機会が十分に提供できていませんでした。
    保険料決定の要素となる重要な事項についてわかりやすい表現で十分に説明されておらず、保険料の割引についても割引を一覧できる資料等の作成・周知が十分でなく、パンフレット等でわかりやすく説明されていませんでした。
    さらに、各部門が募集文書の作成・審査にあたり個々に所管の範囲内で対応しており、代理店も含めた会社全体としての募集文書管理態勢が不十分でした。
  3. 教育・指導
    代理店に対する教育・指導においては、教育・指導内容の記録に基づき、本店において検証・改善できる体制が未整備でありました。また、社内において計画的・統合的なカリキュラムに従った社員研修態勢の整備が不十分でありました。
    代理店への新商品発売時や商品改定時の周知方法は、代理店の理解度等を勘案し、効果的な方法を検討し改善する必要がありました。
    代理店教育制度においては、全募集人が定期的に商品内容を習得する機会を設けることを前提とした教育制度を検討し改善をはかる必要がありました。
  4. 社内態勢・ガバナンス
    上記の諸課題等について関連部の認識が不足しており、経営への適切な報告がされていなかったことから、ガバナンスも十分に機能しておらず不適切な状況が発生いたしました。

3. 「不十分」「未整備」「課題」があると判断した点検結果の発生原因

(1)商品開発・管理態勢

代理店が適正な募集ができる態勢を整備するため、商品の見直しを行い一部保険種目の引受を停止し、引受を行っている種目についても特約の廃止を2007年度中に行いました。今後さらに販売商品の整理・統合・簡素化を図ります。また、代理店の特性に応じて募集する保険種目の絞込みも行いました。

商品開発にあたっては基準を定め、商品の新規投入や改定に際しては、募集・損害サービス・システム手当の各観点から十分な準備・対応が可能かをチェックするなど関連部門と十分に連携するとともに、お客様ニーズ・お客様へのわかりやすさの観点からチェックを行うなど商品開発会議を中心とした商品開発管理態勢の充実を図ります。

さらに申込書のチェックについてもルールを整備し、システム的に判定可能な範囲でチェックの体制の見直しを行い強化を図るとともに、更改前・更改後契約における保険料算出に関連する項目の不整合についてのチェック強化を図ります。

(2)保険募集・説明態勢

すでに、「ご契約内容確認書兼地震保険内容確認書」や「ご契約内容確認書」などにより、新規契約や契約の更改時などにお客様との確認を実施しております。
募集文書では保険料決定の大きな要素となっている事項などについて修正が必要、と判断した募集文書の改定を2007年度中に行いました。今後もお客様に対して分かりやすい表現による説明を徹底します。
また、2007年度中に契約内容の適正性を確保するため各種ツール(「ご契約内容確認書兼地震保険契約内容確認書」や「ご契約内容確認書」、「火災保険ご説明シート」、点検マニュアルなど)の新設や見直しを行いました。今後も改善に努めるとともに説明状況の点検などにより、募集コンプライアンス所管部署を中心として、部門横断的に募集人による適正な説明と確認に努めます。
さらに、当社および外部機関による実地調査を実施し、構造級別、保険金額、割引が適正に判定、算出、適用されているかなどを事後的に確認する態勢を整備します。
加えて、保険料控除証明書などに地震保険割引制度についてご案内することや、長期契約等のお客様に対して契約内容に関する情報をご送付するなど、定期的にお客様へのご案内を行い、お客様が契約内容を確認できるよう態勢整備を図ります。
募集文書の審査体制を強化し、複数部門によるチェックや点検・審査を行う態勢を構築し、募集文書の表記について部門横断的な情報の集約と検討、集約管理を行うこととしました。「お客さまの声検討委員会」の設置により、同委員会などでお客様からの意見・苦情等を分析し、募集文書の表記を改める態勢とし募集文書の改定を実施しております。

(3)教育・指導態勢

 代理店と新規に委託契約を交わした場合においては、代理店が保険販売を開始する前に、代理店として必要な知識の教育・指導が適正にされたかを、本店において確認する制度を2008年4月から開始しました。
代理店への新商品発売時や商品改定時の効果的な周知方法として、代理店を対象としたWEBシステムを活用することにより、全募集人が最新の情報を迅速に入手できる仕組みを構築します。
代理店教育制度においては、損害保険募集人試験の更新制度を導入するとともに、日本損害保険協会が実施を予定している「保険商品教育制度」を踏まえて、定期的に商品内容を学習することを主旨とした制度を構築します。
また、当社の社員に対する教育・研修は、現行のカリキュラムの見直しを実施し、これに従った教育・研修を実施することにより、適正な保険募集のための社員の商品知識レベルの向上や社員の代理店に対する指導力向上の観点から均一化を図ります。

(4)経営管理態勢

すでに、募集コンプライアンス所管組織の新設による募集コンプライアンス全般の強化や「お客様の声検討委員会」、「オペレーショナル・リスク管理委員会」を新設し、ガバナンスの強化に取り組んでおり、お客様への対応に遺漏のないよう態勢整備を図ります。また、内部監査態勢の強化を図ります。
新商品発売・商品改定時には、保険募集ツール類の作成、社員の研修、代理店への研修・周知の各方法およびスケジュール等の対応計画を「商品開発会議」において検討・検証します。「商品開発会議」において特に重要と判断した案件については、常務会において審議・決裁いたします。新商品発売・商品改定後は、開発時に想定されなかった保険募集・保険金支払等の問題点を商品開発部門で確認・検証し、その結果を常務会に報告する事により適正な業務運営に努めます。

以上

 

お客様の声相談センター0120-532-200受付時間:平日 午前9時~午後5時(土日祝祭日除く)

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