開発ストーリー

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はい、もちろんです。業界全体のネット専⽤海外旅⾏保険の歴史からお話しします。
当社としては、2002年から2012年の10年間にわたり、3回もネット専⽤商品の開発を検討しました。しかし、代理店への影響や⾃社の収⼊保険料への影響を考慮し、⾒送られていました。
そんな中、競合他社がネット専⽤商品をリリース、旅⾏業界全体のIT化が進む中で、当社も対応が必要だと感じました。
これを受けて、ネット専⽤商品の開発プロジェクトが緊急で組成され、プロジェクトチームの発⾜からわずか1年1ヶ⽉で販売開始を実現しました。

「t@bihoたびほ」はリスク細分型特定⼿続⽤海外旅⾏保険のペットネームです。

1999年

業界初のネットで加⼊できる海外旅⾏保険の販売開始(店頭商品をネットで契約できるもの)

2002年

ネット専⽤海外旅⾏保険の販売を検討するも、代理店や⾃社の収⼊保険料への影響を鑑みて⾒送り

2007年

2回⽬のネット専⽤海外旅⾏保険の販売を検討するも、2002年と同様の理由で⾒送り

2010年

3度の見直しを経てネット専⽤商品の販売を検討するためのプロジェクトチーム(PT名:Cloudy Bay)を発⾜するも、代理店の業務効率化と付保率向上を⽬的としたシステムの開発に注⼒し⾒送り

2011年

ネット専⽤海外旅⾏保険たびほの開発プロジェクト開始

「たびほ」の開発には数々の挑戦と革新がありました。PTリーダーであり現常務執行役員の永井は、当時の金融機関サイトの使い勝手に課題感を持っていました。

具体的には以下の問題がありました:

  1. 「戻る」ボタンを押すと「不正な画面遷移が行われました」というエラーが出る
  2. 入力内容にエラーがあっても、次画面に遷移するまでどの箇所が間違っているか分からず、エラー箇所が画面上部にまとめてテキストで表示される

これらのUIは、お客様の利便性を著しく損なっていました。そのため、自社でネット専用商品を作る際には、とことんお客様の「使いやすさ」にこだわったサイトを目指すことにしました。

しかし、この点が開発ベンダーの選定において大きな障壁となりました。当時、金融機関向けのシステム開発を行っていたSI(システムインテグレーター)数社に声をかけましたが、先に述べた2点の問題を解消することは難しいと回答されました。
「小売りのECでは当たり前にできていることがなぜ金融機関のサイトでは実現できないのか」と驚いた永井は、うち一社の金融部門ではなく、流通部門からの提案を受けることを思いつきました。結果として、金融部門と流通部門の両方から提案を受け、最終的には流通部門の提案に基づいて開発に着手することになりました。
一般的には、金融機関のサイトの開発はSIの金融部門が担当することが多いですが、当社はお客様の使いやすさを追求した結果、流通部門の担当が開発を行うという非常に珍しいケースとなりました。
このように、たびほの開発は、ユーザーの利便性を最優先に考えた結果、異例のアプローチが取られたプロジェクトでした。

私が「たびほ」のお客様対応担当者として入社したのは、リリースから半年が経過した2013年1月のことでした。当時、「保険」をインターネットで購入することはまだ一般的ではありませんでした。そのため、「保険料と保険金の違い」からお客様にご説明する機会が多くありました。
また、保険加入時のお問い合わせはすべてメールでご連絡いただくという先進的なお客様対応体制をとっていました。このため、「電話一本で済む話」としてお客様から叱責の声をいただくことも多くありました。しかし、このようなご意見を通じて多くの気づきを得ることができ、現在では年間多くの方々にご愛顧いただける「たびほ」サイトが成り立っています。

余談ですが、メールでのお問い合わせを受けていると、旅行を終えて帰国されたお客様から旅先で撮影された素敵な写真とともに、「たびほに加入していたから安心して旅行できました」というお礼のメールをいただくことがあります。このようなお礼の言葉はとても嬉しい瞬間です。
「たびほ」のリリース後、お客様と業界からの反響は非常に大きく、特にお客様からのフィードバックを基に改善を続けてきたことで、現在の信頼と評価を築くことができました。これからもお客様の声に耳を傾け、より良いサービスの提供を目指してまいります。

当社の収入保険料に占める海外旅行保険の比率は高く、損害率・収益ともに安定していました。しかし、自然災害や政情不安、ウイルスの流行などが発生した場合に対応できる商品がないことが課題でした。そのため、当時では業界初となる、すべてインターネット上のお手続きでお申込みいただける住宅用の火災保険の開発を行うことにしました。

火災保険を選んだ理由は、最長保険期間が35年から10年に変更されたことで加入者が増えることが予測されたためです。また、ネットで販売することにより、消費者に社費を削減した安い保険料で提供できると考えました。このような背景から、以下のような思いを込めて火災保険をリリースしました。

火災保険は簡単に入れない。
どこで入ればいいのか? 保険料は高いのか安いのか? わかりにくい。
お客様が思うこんなイメージから、私たちジェイアイは、インターネットで入れるダイレクト型の火災保険を考え始めました。

多くの方に、簡単で、安く、必要な補償を自由に選択できる火災保険を届けたい。
ダイレクト火災保険「いえほ」を開発したジェイアイの思いです。

火災保険に加入するには多くのハードルがありました。自動車保険のように統一された証明書がなく、傷害保険のようにパーソナルデータだけでの加入はできません。そのため、構造判定や建物・家財の保険価額の算出、登記簿など物件に応じた書類の提出が必要でした。

開発にあたっては、参考例が少なく、特にUIの作成に苦労しました。シンプルをコンセプトに掲げ、画面数や文字量、選択項目などを徹底的に削減しました。また、一般的だった解約時の短期率による返戻計算を日割り計算に変更し、長期分割払い、クレジットカード、コンビニ、ペイジー払いなど多様な決済方法を導入しました。これにより、お客様の利便性を大幅に高めることができました。
このように、火災保険「いえほ」はお客様の利便性を最優先に考え、さまざまな工夫を凝らして開発されました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、当社のみならず旅行という業態全体が大きなダメージを負いました。当時は、従来旅行会社の店頭で販売していた紙の申込書で加入する海外旅行保険を、「たびほ」同様のネット専用海外旅行保険に統合し、店頭加入用の保険でしか提供できていなかった補償・サービスをネットで加入でも提供できるよう開発を進めておりました。当社はコロナ禍であっても市場の回復を信じ、開発を継続。2022年10月には「Web海外旅行保険」としてリリースし、現在販売している「ATTENDあてんど」「t@bihoプライム」「t@bihoキャンセル」といった保険はこれらの経緯を経て誕生したものです。

また、コロナ禍では「いえほ」のブラッシュアップにも取り組みました。
相次ぐ自然災害により、業界全体で非常に短いスパンで火災保険料の値上げが継続。また、2022年末には火災保険の最長契約期間が10年から5年に全社で縮小されたことから、満期更新の頻度も増加しました。「より安く、手軽に、安心を得たい」という需要の高まりが予想される中、当社はこのニーズを捉え、2021年9月に登記情報の自動取得と無人審査による業界初の完全リアルタイム契約完結の仕組みを開発しました。

そして、2023年に大きな商品改定を行い、一部条件における保険料の引き下げ、加えて新たにインターネット割引の導入を行いました。
修理の手配や修理代金立替不要のキャッシュレス・リペアサービスや気象災害アラートの開始など、安いだけでない安心の実現にも力を入れています。また、現在は主に機能の追加開発によるお客様利便の向上と、お客様接点の拡大に重点的に取り組んでいます。

「いえほ」はこれまで、安さ、安心、便利を実現した商品を展開して参りましたが、商品をお届けするためのお客様接点不足が課題となっていました。絶え間なくブラッシュアップしている「いえほ」という商品をより多くのお客様にお届けするため、お客様接点の拡大に努めております。

お客様接点の拡大という点においては、「たびほ」にも取り組みの予定があります。
「たびほ」では、特に若年世代のお客様との接点開拓に取り組んで参ります。具体的には、「たびほ犬」というキャラクターを活用し、主にSNSで海外旅行保険を含む様々な旅行関連情報を発信。特に若い世代の方に知っていただくことで、皆さんの「はじめての海外旅行保険」になりたいと思っております。

「たびほ」・「いえほ」ともに、様々な形で、ときに面白おかしく皆様との接点を増やして参ります。私たちも楽しみながら取り組みますので、私たちの商品との接点を、皆様にもお楽しみいただければ嬉しいです。

DX推進部 澤・岩田